手を繋ぐこと離すこと
息子の小さな手が、私の手を探し掴む。
こっち
あっち
いや!
ありと!(ありがとう)
ちょっと、かーして
もーいーかい
言葉が出てから沢山お話しをしてくれる。
私のことは、ママということもあれば大半の場合「あーや!」と呼んでる。
仕事のために離れている時間が長いので、生まれてこのかた半分以上の時間を祖母と過ごす琉生。
時折、母親としてみているのだろうかと幼い眼を覗き見る。
仕事から戻り車から降りる音を聞きつけた息子は、いつも私が入る勝手口に周りこむ。
そうして「ただいま!」というと
息子はくしゃっと顔を崩して、笑い、そして
「あっ!あやだ!」
と言う。
そして、「あっこ!」(だっこ)をねだるのだ。
抱き上げると、確かめるように小さな手を私の両頬にピタッとくっつけた後、おでこをくっつけてくる。
そして、また笑うのである。
手を繋ぎ、息子とともに歩く道は少しずつ距離が伸びている。
いつか繋いでくれなくなるのだろうこの手を、しっかり繋ぎ、息子は迷いなくまっすぐ進むのだ。
その歩幅がいつか、私より大きくなり、私が知らない息子の顔ができるのだろうと思い、一層力強く、小さく柔らかな手をギュッと握りしめる。
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